こんにちは。私は土の無いコンクリートの小さな庭でプランター菜園を楽しんでいます。
プランターとはいえ菜園はじめ園芸をするうえで、虫の発生は避けて通ることはできません。むしろ、実を付けるタイプの野菜やフルーツは受粉のために虫の力を借りる場面も少なくありません。また、土には植物に有益な微生物、細菌が多く住み、彼らからも力を借りてプランター菜園というものは成り立っています。虫たちも大きなくくりではその一部と言えるでしょう。今回は虫嫌いな方向け水耕栽培の魅力とメリット・デメリットをお伝えしたいと思います。
私は虫が大の苦手です。
家の中にハエ1匹、アリ1匹でも見かけるととても不快に思ってしまいます。では家の外は?というと、もう少し寛容になれます。ハエでもクモでもゴキブリでも、家の敷地内とはいえ屋外は彼らのテリトリーでもあります。家に入ってきたり、よっぽど害がなければそう割り切て、何とかスルーできています。
とはいえ、実際に野菜や植物に害をなす虫も存在します。葉や茎に群がるアブラムシ、大事な根っこを食べつくすコガネムシの幼虫、せっかくなった実に穴を空けて中身を食べつくすオオタバコガの幼虫など、多岐にわたります。農薬という単語には一般的に良いイメージがわかないことが多いと思います。しかし、我が家の菜園の状況とこれまでの経験から、農薬というものがいかに野菜の安定供給に貢献しているかが実感できます。それくらい虫たちの活動はパワフルですし、無農薬栽培はいかに高い技術と膨大な手間がかかているか、ということも察することができます。
虫のいないところで、土を使わずに菜園ができたらいいのに
前述の通り無農薬栽培は大変難しいです。園芸をやっていれば何かしらの農薬に頼らざるを得ない場面があります。毎日が忙しく限られた時間でしか園芸と関われないという方はなおさらです。私も農薬には少々お世話になっています。
野菜たちが成長する期間は虫との戦いが続きます。しかし、ふと思いました。戦わずして勝つ方法はないか…そこで出会ったのが水耕栽培という手法でした。水耕栽培は土を使わずに植物を育てます。また、光合成に必要な光さえ、今ではLEDの力を借りて代替できるようになりつつあることを知りました。
家の中で虫をシャットアウトし、土さえも持ち込まず菜園のできる水耕栽培。これは虫嫌いには夢のような、魅力的な園芸手法です。
水耕栽培のメリットデメリット
メリット(長所)
- 土を使わない
水耕栽培の最大の特徴です。土の処分や土壌改良で難しく考えたり、悩んだりする必要がなくなります。また、土がないので土に潜んだり土から出てきたりする虫の発生がゼロにできます。
- 室内で栽培しやすい
水耕栽培は室内でも可能です。プランターのように持ち運びができ、さらに鉢の下からは水や土が漏れだすことはありません。空調の効いた部屋で栽培することである程度季節を無視した栽培が可能です。具体的にはバジルや大葉、パセリ、水菜などの比較的育てやすい葉もの野菜はリビングで年中栽培可能です。
- 土壌改良の作業が不要
土の栽培では土壌改良をすることで次に植える野菜が育ちやすくしたり、連作障害が出にくくしたりします。水耕栽培ではそういった作業は一切不要です。定期的に新しい水に足したり換えたりするので、栄養の偏りや害をなす菌やウイルスが定着しにくいためです。
- 割と成長が速い
感覚的な話ですが水耕と土では水耕の方が成長が速い気がいます。おそらく根を張るために土の粒子を押しのけなくて済むので、効率よく根が伸びるのだと思われます。
- 水やりや追肥のタイミングがシンプル
水耕栽培では鉢の中が液体肥料を薄めた液で常に満たされています。なので液が減ったら足す、または入れ替えるなど、やることが決まっています。水やりは朝か夜か?どれくらいあげるか?追肥はいつ何をすれば良い?など難しいことを考える必要がありません。
デメリット(短所)
- 初期投資が多め
土での栽培に比べて初期投資がかさむ傾向があります。以下は私の場合の一例です。
液体肥料(ハイポニカ) :1,000円くらい
鉢(ダイソーの収納容器): 110円
栽培用LEDライト(※) :3,000円くらい
エアーポンプ(※) :1,000円くらい
だいたい5,000円〜6,000円くらいの初期費用がかかりました。液体肥料は手に入りやすいのが「ハイポニカ」と「ハイポネックス(微粉)」です。個人的にはハイポニカの方が葉もの野菜が美味しい気がします。
ちなみに※LEDライトは窓辺など十分に日光が当たる場所に場所を確保できる人は不要ですし、※エアーポンプについても水菜やベビーリーフなど比較的短期間で終わり、そんなに大きくならない野菜・ハーブ類なら不要です。反対に夏野菜や根菜など実がなったり大きく育つタイプの野菜はエアーポンプが必須です。
- 液体肥料のコストと手間
土で栽培する場合も定期的に水をやる必要があります。水耕栽培ではもう少し手間がかかります。それは液体肥料を薄めて使う事と、液の水換えをする必要があるという点です。
ハイポニカ、微粉ハイポネックスともに、そのままでは使えません。だいたい1,000倍から500倍に水で薄めて使います。その薄める作業が地味〜に面倒くさいです。さらに液を換水するのも毎日ではありませんが、1週間に1回はした方が良いでしょう。その際には継ぎ足しよりも沢山の液を使いますし、古い液を捨てるため流しまで鉢を移動させなければなりません。
- 大量に栽培できない
野菜を育てるためには日光やその代わりとなる光が必要です。窓辺など日当たりの良い場所が確保できればコストをぐっと抑えることができます。しかし室内で栽培する場合は横~斜めの方向しか日光が得られません。逆に外で栽培する場合は真上からも日が当たるため、面積さえあれば多くの日光が降り注ぎます。その観点から室内では栽培スペースが限られ、比例して株数や収量も不利となります。また、日光の代わりにLEDライトを使う手もありますが、鉢1~2つにつき1台くらいの比率でライトが必要になります。LEDライトを大量に用意して1部屋を野菜工場にする規模で頑張れば、庭先でプランター栽培するくらいの収量も見込めそうですが莫大なコストがかかるので趣味の範囲を超えたコストがかかります。また、上記の液体肥料の継ぎ足しや水替えなどの手間も鉢の数に比例してかさみます。
私の感覚ですが小型のプランター規模で、多くても4鉢くらいまでが現実的な数字かなと思います。
- 土植え栽培とは違うテクニックが必要
土で栽培する場合、初心者でも簡単に十分楽しめる野菜はたくさんあります。ジャガイモの袋栽培や、苗で買ってきた夏野菜など、小学生の子どもでも水やりさえ怠らなければ1つや2つは確実に実がなるでしょう。水耕栽培も簡単に始められる点は同じですが、野菜ごとの難易度はプランター栽培とは別物です。例えばジャガイモなどの根菜類です。地面の下に実ができるタイプも水耕不可ではありませんが、土の代わりにバーミキュライトという資材が必須です。水耕栽培で比較的簡単にできる野菜は大葉、バジル、水菜、パセリなど、比較的背の低い葉もの系がありますが、厳密には値の張り方に合わせて土台となる資材を考える必要があります。ここまでくると「何だかややこしいなぁ~」と思ってしまいますが、やり方がわかればそれほど難しくはありません。言いたい事はプランター栽培が簡単=水耕栽培も簡単、ではないという事です。
- 人工授粉が必要
外には沢山の虫がいます。その中には野菜の受粉を手助けしてくれる虫もいます。ミツバチやチョウチョなどイメージしやすいですが蚊でさえも血の他に蜜も吸います。家の中ではどうでしょう?いわゆる害虫といわれる類が少しくらいはいるしょうが、花の受粉を手助けしてくれるような虫は普通はいません。なので花を咲かせ、実をつけるタイプの野菜を育てる場合は人工授粉やそれに近い作業が発生します。
とはいえ、室内栽培では矮性という小ぶりのミニトマトが該当するくらいですので、指や筆で花をワサワサするくらいで十分かと思います。重要なのは、外で育てるよりも実がなりにくく、人間が手を加えてやる必要があるということです。
場合によっては虫がつく
水耕栽培に限らず室内で野菜を栽培することのメリットに虫が付かないという点があります。しかし、意外とアブラムシが葉についたという事例が結構多いです。いろいろ深堀りしていると共通点は
- 窓辺で栽培している。
- 網戸にして頻繁に空気の入れ替えをしている。(当時はコロちゃんが流行っている時期でした)
どうやらアブラムシは場合によっては網戸をすり抜けたり、ちょっとしたタイミングを見計らって部屋の中に侵入してくるみたいです。これも対策はいくらでもありそうですが、室内だからといって100%虫が付かないとは言い切れないようです。
水耕栽培に必要なもの
ここからは水耕栽培に必要な資材と、私なりのやり方を紹介したいと思います。やり方については私のアレンジがかかっていますので、お気づきの点があればコメントしていただけると嬉しいです。
ばらまき型
ウールのシートを畝に見立てて、種をパラパラまく手法です。
準備物(☆=必須、○=省略)
☆豆苗プランター
☆猫よけチクチクマット
☆水槽用ウールマット(または食器用スポンジ)
☆ハイポニカ液肥(または微粉ハイポネックス)
○LEDライト(植物用)
やり方
ダイソーの豆苗トレーに水槽の濾過槽で使う綿を敷いて、その上に種を巻きます。根が張ってくると網下のスペースが窮屈になってくるので、同じくダイソーの猫よけのチクチクを適当な大きさに切って、トレーと網の間に入れてスペーサーにします。種はばらまくといっても一粒ずつ1cm間隔くらいで均等に蒔いた方が後から間引きがしやすいです。
この方法は根がぐらぐらしがちです。水菜や小松菜など重心が低めで一気に収穫できるタイプの葉もの野菜がおすすめです。大量には採れませんが一番低コストで始められます。
1株単位型
1株ずつを大事に育てていくタイプです。
準備物(☆=必須、○=省略)
☆蓋つき収納ボックス
☆水耕栽培用定植ポット
☆水槽用エアーポンプ
☆食器用スポンジ
☆ハイポニカ(または微粉ハイポネックス)
☆LEDライト(植物用)
やり方
蓋付き収納ボックスの蓋に定食ポット(カゴ部分)がピッタリ入る大きさの穴を空けます。ホールソーやハンダゴテがあると便利ですが、千枚通しでたくさん穴を開けてそれをニッパーやカッターでつなぐ方法もあります。穴は1つ〜最大4つまで、複数の穴を開ける場合は株間を少なくとも15cmは離しておいた方が良いでしょう。
食器洗い用スポンジにカッターで切れ目を入れ、その切れ目に種を巻きます。最終的には定植ポットに1株ずつ植えるので3cmくらい間隔を空けた方が良いです。発芽までの工程は育てたい野菜によって違いますので、発芽に光がいるかどうかなどは事前に調べておきましょう。
発芽したら日光やLEDを当てます。根っこがスポンジを抜けて長くなってきたら定植ポットに植え付けます。
容器内に液を入れますが、蓋をして定植ポットをセットした時、ポットのそこが水面にギリギリ付くくらいの水位が理想です。容器の壁にその時の水位の印を打っておくと、次からそれを目印にしてトコトコついでやればOKです。ある程度の日数は液肥を継ぎ足すだけでいけますが、植物が吸わなかった肥料成分や病原菌などが蓄積していきます。可能であれば週に1〜2回は液肥を全換えしましょう。
その後の管理は土植えの野菜と同じです。
まとめ
いかがでしたか?私なりに水耕栽培を特に室内ですることのメリットとデメリット、さらに大まかな方法までお伝えしました。100均で色々揃えてDIYするのも楽しいですが、通販などで水耕栽培の導入セットなどを買うというのも、それはそれで良いとも思います。私個人としては自分が飽きっぽいので、同じく飽きっぽい人は初期費用を低く抑えた方が良いと思います。どちらにしても思ったが吉日、やれるものなら手を出してみましょう(笑)今まで知らなかった世界の園芸のドアが開くかもしれませんよ?
また、私の自己流ばかりです。水耕栽培の本によるとバケツやバーミキュライトを使って屋外で栽培する方法もあるようですね。もし私と違う方法で成功している方がいらっしゃいましたら、お気軽にコメント頂ければと思います。情報交換できると嬉しいです!
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